今回の展示のテーマは、「宝石」です。
月の誕生石をモチーフに、12の宝石のイメージを僕なりに表現してみました。
この展示は、これまでの展示と一線を画しています。
同じ描き手であるので、見た感じの変化はないんじゃないかとさえ思うのですが、
これまでの絵が、少なくとも「何処かの誰か」に見せる事を前提に描かれたものだとすれば、
今回の絵達は、ただひとりを想って描かれたもの。
だから幾分思い入れも強く、
ずっと私的で、局地的な趣向が強いのです。
もし、祈りにカタチが在るというのなら、こんなカタチで在って欲しい。
そう願いながら、描き続けてきたモノ達。
ただひとりが笑ってくれさえすれば、それで良いのだと。
これはそういう展示です。
更に言うなら、この展示は絵だけでは成立しないものです。
今までよりずっと、言葉の比重が高くなっている。
絵と言葉で作られたこの世界に、最後の魂を吹き込むものが音だという事を知っていながら、
僕に出来るのは、ここまで。
だからいつまでも未完成で、最後の席は空いた侭。
それでも、ここまで作り込んで、この世界に居場所が在るのだという事を示したくて、
この空間を現実に表してみたいと思いました。
非常に私的な見解なので、この展示は万人ウケするものでは無いかも知れません。
それをあえて、人前に出してみようと思ったのは、
この想いの出所が、他の人達の目にはどう映るのか見てみたかったから。
ただひとりのために描かれた、この想いが故の絵達が、
他の誰もの心を震わせるというのなら、僕にとっても本望なのです。
それで役目を果たせると思えば、
この路を、迷わずに行けば良いのだから。
どう思うのか、思われるのか、後は実物を見てのお楽しみです。
会場でお会いしましょう。